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消費税増税対策まとめ

税率アップに関して知っておきたいこと

平成24年8月10日に成立した改正消費税法により、消費税及び地方消費税の税率は
・平成26年(2014年) 4月に8%へ(決定)
・平成27年(2015年) 10月に10%へ(予定:H26年3月現在)
と引き上げられることが決まりました。

8%へ引き上げることが安倍首相により最終判断されたのが平成25年(2013年)10月1日なので、
この日が経過措置の指定日外税表示OKの日となります。

請負契約に於ける経過措置の適用

契約時点により、引き上げ前の税率を適用出来るのが経過措置です。
工事等の請負契約では、引き渡し前に経過措置の適用を確認して通知する必要があります。
また、経過措置の期限を過ぎた契約でも引き渡しが平成26年3月31日までなら5%ですが、
4月以降にずれ込めば5%の税率は適用されないので注意が必要です。

・平成25年9月30日までの契約か

平成25年(2013年)9月30日までに工事の請負等に関する契約を締結した場合は、引き渡しが平成26年4月1日以降であっても税率は5%です。ただ、指定日(H25.10.1)以後に請負金額が増加された場合は、増加分に関しては経過措置が適用されず、改正後の税率が適用されます。

・請負契約の範囲と適用条件

対象となる請負契約は幅広く、1.工事又は製造の請負、2.測量・地質調査、3.工事の施工に関する調査、4.企画・立案、5.監理、6.設計、7.映画の制作、8.ソフトウェアの開発、9.その他の請負(委任その他の請負に類する契約)となっています。その他の請負には、修繕・運送・保管・印刷・広告・仲介・技術援助・情報提供に係る契約や検査・検定等の事務処理委託に関する契約が含まれます。また、
・完成に長期間を要するか
・目的物の引き渡しが一括して行われるか
・目的物の引き渡しを要しない請負は、約した役務の全部の完了が一括して行われるか、
 その上でその内容について相手方の注文があるか
といった要件があります。

資産の貸付契約に於ける経過措置の適用

平成8年(1996年)10月1日から指定日前日の平成25年9月30日までに資産の貸付に係る契約を締結し、平成26年4月1日の前から同日以後も引き続きその資産の貸付を行っているものは、一定期間、5%の税率となります。

・経過措置の期間

経過措置の適用期間はその契約に於ける当初の貸付期間であり、自動継続条項のある賃貸借契約の場合、解約申出期限を経過した時点で当事者同士で合意、つまり新たな契約の締結があったと見なされます。
解約申出期限の後に指定日(H25.10.1)が存在し、施行日(H26.4.1)をまたいで継続する貸付契約の場合、経過措置が適用されますが、指定日の後に解約申出期限が存在する場合は、経過措置は適用されません。

・適用条件

指定日の平成25年10月1日以後に当該資産の貸付の対価が変更された場合には、変更後の資産の貸付に経過措置が適用されません。
契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていない場合も、経過措置は適用されません。

・平成25年9月30日までに締結された契約の経過措置

【指定役務の提供】結婚式や葬式費用等を分割して前払いする契約を平成8年から平成25年9月30日までの間に締結し、その契約に基づいて平成26年4月1日以後に役務の提供が行われ、次の条件を満たす場合には5%の税率が適用されます。
・契約に係る料金が定められている
・事情の変更その他の理由により料金の変更を求めることが出来る旨の定めがない
・契約の性質上、役務提供の時期をあらかじめ定めることが出来ない
・割賦販売法2条5項の前払式特定取引に係る契約のうち指定役務の提供に係るもの(購入を前提として積立は該当しない)

・平成26年4月1日前後の経過措置

【旅客運賃等】施行日以後の旅客運送の対価や、映画・演劇・コンサート、競馬場、美術館、遊園地、スポーツ観戦等の入場料金であっても、平成26年3月31日までに領収しているものには5%の税率が適用されます。
【電気・ガス等の料金】継続供給契約に基づき、施行日の前から継続して供給している電気・ガス・水道・電話に係る料金等で、平成26年4月1日から平成26年4月30日までの間に料金の支払いを受ける権利が確定するものには5%の税率が適用されます。

価格表示は多様化するが、禁止される表示も

平成16年(2004年)4月から実施されてきた消費税込みの総額を表示する義務が一時的に緩和され、一定の誤認防止措置を条件に、税抜価格のみの外税表示を認める特例が平成25年10月1日から実施されています。
消費税率が2回上がることが予定される中、値札等の変更に係る事務負担を軽減することが目的です。

・税抜価格のみの表示が認められる誤認防止措置

平成25年10月1日に施行された消費税転嫁対策特別措置法に基づき、一定の誤認防止措置を条件に、税抜価格のみの外税表示を認められています。
誤認防止措置とは、消費者が商品を選択する際に「税抜の価格表示」であることが判るための誤認防止の表示が、明瞭に認識出来る方法で行われていることを指します。
「商品を選択する際」がポイントとなり、例えば「当店の価格は税抜です。」という表示が店内のレジ周辺だけ、商品カタログの申込用紙だけ、インターネット販売の決済画面だけにされている場合は認められません。また「当店の価格は税抜です。」という表示の文字が著しく小さく、一般消費者にとって見づらいものは「明瞭に認識出来る方法」に当てはまらないケースとなり、認められません。

・税抜価格のみ表示のパターン

値札・チラシ・看板・ポスター・商品カタログ・Webサイト等に於いて、税抜価格のみを表示する例として、財務省が容認しているのは次の8パターンです。

・○○○円(税抜き)  ・○○○円(税抜価格)
・○○○円(税別)   ・○○○円(税別価格)
・○○○円(本体)   ・○○○円(本体価格)
・○○○円+税     ・○○○円+消費税

・税抜価格を強調して表示する

総額表示義務の特例にはもう一つあり、従来の税込価格に税抜価格を併記するケースです。
併記の方法として、税抜価格を税込価格よりも強調する表示が認められるようになりました。一般消費者にとって値ごろ感のある税抜価格を税込価格よりも強調させて目立つようにしようとの心理が働くからです。

税抜価格の強調表示は、税込価格が明瞭に表示されていることを条件に認められます。
景品表示法の禁止規定によって、税込価格と税抜価格を併記する場合には、一般消費者に税抜価格を税込価格と認識させるような表示が禁止されています。
税抜価格の強調表示が認められるのは、併記する税込価格が明瞭に表示されている場合です。
ここでの「明瞭」とは、併記する媒体に占める表示の全体からみて、税込価格が一般消費者にとって見やすく、且つ税抜価格が税込価格であると一般消費者に誤認されることがないように表示されていればOKです。
具体的な判断要素として、税込価格表示の文字の大きさ・文字間の余白・行間の余白・背景の色との対照性、等により総合的に判断されることになります。

・禁止される表示、禁止されない表示

消費税転嫁対策特別措置法は、消費税の転嫁を阻害する表示を是正するとの目的から、「消費税還元セール」等の消費税分を値引きする表示を禁止しています。

平成9年(1997年)の消費税率引き上げの時は「消費税還元セール」が実施され、納入業者の中小事業者や小売店が消費税を転嫁しづらくなったことがあり、今回禁止されました。
景品表示法により禁止されるため、消費税の免税事業者も含め、全事業者が対象となります。

【禁止される表示】
次のような、消費税分を値引きする等の宣伝や広告は禁止されます。
1. 取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示
 ・「消費税は転嫁しません」
 ・「消費税はいただきません」
 ・「消費税還元セール」
2. 取引の相手方が負担するべき消費税に相当する額の全部または一部を対価の額から減ずる旨の表示で、消費税との関連を明示しているもの
 ・「消費税率上昇分を値引きします」
 ・「増税分は勉強させていただきます」
3. 消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって内閣府令で定めるもの
 ・「消費税相当分の商品券を提供します」
 ・「消費税相当分、次回の購入に利用出来るポイントを付与します」
 ・「消費税相当分を後でキャッシュバックします」
※「消費税」の文言を含まなくても、「増税分値下げ」等の文言で実質的に消費税分を値引きする趣旨であれば禁止されます。

【禁止されない表示】
次のような「消費税」の文言を含まない表現は、宣伝や広告の表示全体から消費税を意味することが客観的に明らかでなければ、禁止する表示には当てはまりません。
 ・消費税との関連がはっきりしないもの「春の生活応援セール」「新生活応援セール」
 ・たまたま消費税率の引き上げ幅と一致するもの「3%値下げ」「3%ポイント還元」
 ・たまたま消費税率と一致するもの「10%値下げ」「8%ポイント進呈」
※消費税との関連性がはっきりしない表示や、たまたま消費税率の引き上げ幅と一致するだけの表示がされていただけでは、禁止の対象とはなりません。

消費税の転嫁拒否は取り締まられます

下請業者が消費税分を転嫁するのを拒否する等の問題行為がある元請業者に対する調査や、下請等の中小事業者からの相談を受け付ける窓口が平成25年10月1日にスタートしました。
既に取り決められた取引価格を後になって下げる「減額」や、通常支払われる対価よりも低く定める「買いたたき」の他、「商品購入、役務利用又は役務提供の要請」「税抜価格での交渉の拒否」「報復行為」が禁止されます。

・減額、買いたたきの例

 ・消費税分を支払わない
 ・本体価格に消費税分を上乗せする契約をしていたのに支払う段階になって消費税分を下げる
 ・原材料費は変わらないのに8%を上乗せした税込価格よりも低い税込価格を売り手に指定する

・商品購入、役務利用、役務提供要請の例

 ・売り手が特定事業者の指定する商品を購入しなければ、消費税の上乗せにあたって不利な取り扱いをすると示唆する
 ・売り手にチケット購入を要請する
 ・消費税の上乗せに応じる代わりに、売り手の従業員の派遣を要請する

・税抜価格での交渉拒否の例

 ・本体価格と消費税額を別々に記載した見積書等を特定事業者が拒み、税込価格のみを記載した見積書等を再度提出させる
 ・税込価格しか記載出来ない見積書等の様式を定めて、その様式の使用を強制する

消費税増税対策1(所得拡大促進税制・生産性向上設備投資税制)

平成25年10月1日は、消費税率アップが決まるとともに、新たな法人税減税を含む5兆円規模の経済対策も示される日となりました。
消費税増税の対策で何故法人税減税かというと、
・法人が減税分を社員の賃上げに回してデフレ脱却に繋げられること
・設備投資を促して、増税後の景気冷え込みを和らげること
を目的としているからです。具体的には、復興特別法人税の1年前倒し廃止の検討と所得拡大促進税制の要件緩和、生産性向上設備投資促進税制の創設等です。

・所得拡大促進税制の要件緩和

青色申告法人が国内雇用者に対して給与等支給額を増加させると、当期税額の10%(中小事業者は20%)を限度にその支給増加額の10%分を税額控除する制度です。
今回の改正では、雇用者給与等支給増加割合が5%以上必要だったのを、平成25年・26年度は2%以上、平成27年度は3%以上に下げるほか、平均給与等支給額の要件について、その計算のベースを「継続雇用者に対する給与等」に限定して新規採用者や退職者を除いた金額で比較出来るようにします。但し改正後は、前年度の比較平均給与等支給額を上回ることに改めています。

・生産性向上設備投資促進税制

最新モデルへの買い換えを促す設備投資減税で、その適用方法は2つあります。
1. 旧モデル比で年平均生産性を1%以上向上させる「先端設備」を平成28年(2016年)3月31日までに取得等した場合に即時償却又は5%(建物・構築物は3%)の税額控除と、
2.「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」で、経済産業局長から投資利益率が15%以上(中小事業者は5%以上)となる計画の確認を受けた場合に同様の即時償却又は税額控除が適用されます。
中小事業者は、適用期限が平成29年(2017年)3月31日まで3年延長される中小企業投資促進税制を選択することで、上記の1又は2の設備を取得等した場合に即時償却又は10%の税額控除(新たに資本金3,000万円超1億円以下の中小企業にも7%の税額控除)を適用出来ます。

経済産業局への事前確認手続を定める産業競争力強化法の施行日から実施され、平成26年3月31日以前に終了する事業年度から取得等出来ますが、実際の即時償却又は税額控除の適用は、翌期の平成26年4月1日を含む事業年度からとなるので注意が必要です。
平成29年3月31日までの取得等を対象としますが、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの取得等に生産性向上設備投資促進税制を適用する場合は、その取得価額の50%(建物・構築物は25%)の特別償却又は4%(建物・構築物は2%)の税額控除となり、その率が下がります。中小企業投資促進税制を適用する場合は下がりません。

・少額減価償却資産の特例

中小企業税制の中では、少額減価償却資産を取得等した場合の損金算入特例の適用期限が平成28年3月31日まで延長されます。
取得価額が30万円未満の少額減価償却資産を対象にその合計が300万円以下であれば、その全額の即時償却を認める制度です。

消費税増税対策2(給付金・すまい給付金・住宅ローン控除拡充)

消費税増税の逆進性対策として、簡素な給付措置が実施されますが、平成25年10月1日の経済対策でその実施方法が決まりました。また、増税後の住宅販売の落ち込みを防ぐための「すまい給付金」の実施方法も決まったほか、平成25年度税制改正により住宅ローン控除の拡充が平成26年4月以後、実施されます。

・給付金

市町村民税(均等割)が非課税の人を対象に、1人1万円が支給されます。さらに、老齢基礎年金(65歳以上)・障害基礎年金・遺族基礎年金の受給者等や、児童扶養手当法の特例法の対象となる児童扶養手当、特別障害者手当等の受給者等に該当する場合は、1人5,000円が支給されます。

・すまい給付金

消費税8%が適用される住宅(新築・中古を問わない)を取得した人は、都道府県民税率が4%の場合の取得割額に応じて、すまい給付金が支給されます。
住宅ローンを利用せずに購入した人は、50歳以上の人で住民税(都道府県)取得割額が13.3万円以下の人に限られます。

・住宅ローン控除等の拡充

平成25年度税制改正に於いて、住宅ローン控除や自己資金の投資型の控除が拡充されています。
消費税率アップに伴う負担増を軽減するのを目的としているので、税率アップ後の平成26年4月1日以後の引き渡しでも経過措置により5%の税率が適用される建物は対象外となります。
住宅ローン控除額の引き上げに伴い、所得税から控除しきれない部分が増えるため、住民税からの控除上限額も引き上げられました。
所得税からの控除額が少ない、あるいは所得税額がなく控除されない低所得者にはすまい給付金を支払うことで、消費税率アップに伴う住宅需要の落ち込みを防ぐのが目的です。

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